シロアリから自然環境を考える

 当社のキャッチコピー「シロアリから自然環境を考える」というのは非常に分かりにくいフレーズかもしれません。近年、自然環境を守る取り組みや話し合いが盛んに行われいます。環境を大切にしようということは現在誰しもが考えていることで、あえて当社がとやかくいうまでもありませんが、シロアリからの視点で自然環境を観てみようというのがこのキャッチコピーの主な趣旨です。


 1.「自然環境」と聞いてイメージするもの
 「自然環境」と聞いて思い浮かべるのは緑豊かな森林で小川のせせらぎや鳥の声が聞こえてくるというような、考えただけで癒されるような光景をイメージすると思います。これほど良いものは大切にしなければならないと考えますが、さてこの環境を支えているのがシロアリだとしたらちょっとイメージが悪くなってしまうでしょうか。
 もちろんシロアリだけではなく、生物が多様に生息し、絶妙に関係しあうことで自然は持続的に環境を整えているわけで、豊かな緑は草木そのものだけでは到底維持されるものではありません。
 生物同士の絶妙な関係はとても複雑で、私にも説明しきれませんが、豊かな森には栄養豊富な土壌が必要です。その土壌を豊かにするという使命を担っているのがシロアリです。ある資料には土壌への絶大な影響力を持つシロアリは地球環境を支配しているのでは・・・とまで書かれています。
 
こういった場所に行くと本当に癒されます

 2.分解という役割を担うシロアリ
 自然環境においてシロアリは、枯れ木や倒木など枯死した植物を土に還すという重要な役割を担っています。死んだ樹木はそのままですとなかなか分解しません。これは家屋や建物などに利用される理由の一つですが、自然にとってみればそれらは大きなゴミとなります。シロアリはそのゴミでしかない死んだ樹木を自らの栄養源とし、さらに他の生物が再利用可能な土の状態まで戻してくれます。また木を分解するという工程は簡単ではなく、ましてそれを栄養にしたり利用価値のあるものに分解するというのは、現在の人間の科学技術をもってしても確立されていません。ですからシロアリは超高性能なリサイクルマシーンと考えることもできます。
 ほとんどが温帯性気候である日本では、シロアリの現存量はそれほど多くはないと思います。しかし担っている役割に変わりはありません。多くの方がシロアリに良いイメージは持っていないと思いますが、実はシロアリという生き物は自然環境において重要な役割を果たす大切な生き物なんです。
 拙速な説明ですが、自然を守るということは植樹や特定の生物を守るということだけでなく、シロアリを含む様々な生き物同士の関係(生態系)を考えながら行動することこそ重要だと思います。
 
 
こんな小さなやつらに地球が支配されているとは・・・

 3.自然環境を守るため、シロアリを駆除してはいけないのか
 シロアリにしてみれば、家屋で使用されている木材も自然界で枯死した樹木となんら変わることはなく、土に還すべき対象となります。では自然環境を守るため家屋を食べているシロアリは駆除すべきではないのでしょうか。
 実際、自分の家がシロアリに食べられているのに、そういう考えで放っておく方はほとんどいないと思います。私も駆除したほうがいいと思います。一見矛盾してそうですが、まったくありません。「害虫」、「益虫」という言葉がありますがこれは「ヒト」が自分の損得で言っているだけで、本来は「害」も「益」もないはずです。
 陽明学の祖で明代の儒家、王陽明は伝習禄の中で、弟子が花壇の雑草を取っていたとき「なぜ善(花)は育てにくく、悪(雑草)は去りがたいのか」とつぶやいたとき、陽明は「自然に善悪の区別はなく、ただ君の感情から起こっているものだ」と話します。弟子は「では悪ではない雑草は取らないほうが良いのですか」と尋ねると、「雑草が妨げになるのであれば取り除くのに何の差支えがあろう」という問答が記載されています。シロアリも家屋に害をなしているのであれば駆除するのに何の支障もないと思います。ただし、善悪の感情が甚だしいと、家屋に害を及ぼさない無関係なシロアリまで駆除してしまうというような行き過ぎた対応をしてしまうことになるのだと思います。

庭にある切り株や植木の支えなどにヤマトシロアリがいても、家屋と関わりがないようなら駆除しないで様子を見て大丈夫。ただ知識が足りなかったり、業者が利得の感情を出すとこのシロアリは悪になり即刻駆除されてしまう。

 4.当社の戒めの言葉として
 シロアリ業者はシロアリを駆除することで(厳密には駆除だけではない)会社が成り立っています。当社もそうです。ですので家屋のシロアリを駆除し続けていると、だんだんシロアリが損得だけの対象に思えたり、家屋の被害を見て、憎んでしまう感情が大きくなってしまうことがあります。実はこうなると正しい判断ができず、適切なシロアリ対策を施すことができなくなってしまいます。そんな時、ふと「シロアリから自然環境を考える」という言葉を思い出すとハッと我に返るような、落ち着いて、冷静になるとがあります。このキャッチコピーを考えたときはそこまでの効用は考えていませんでしたが、この仕事を続けている限り、将来にわたって当社の戒めの言葉となると思っています。このページに限らず、当社のサイトがシロアリの本来の姿を知って正しい、過不足のないシロアリ対策が取られることに、少しでも役立てられたら幸いです。
シロアリを駆除する場合でも、行き過ぎや不足のない、その状況に応じた適正なシロアリ対策を!



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