これってシロアリの被害? 〜シロアリ被害の見分け方〜

 木材がダメージを受ける要因として「腐朽」や「シロアリによる食害」などがありますが、一般の方は見比べることが少ないと思いますので被害を発見しても何の被害なのか判断できないことがあると思います。また、シロアリ業者に床下を点検してもらい、木材の腐朽した写真を見せてくれた場合に、「シロアリですね〜」と言われてしまったらシロアリの食害でないのにもかかわらず、おそらく信じてしまうと思います。(この場合は業者に悪意があったら当然問題ですが、知識不足で判断間違いというのも非常に問題です。)
 ともあれ木材に被害を見つけたらまずは何の被害なのか正確に判断することはその後の対処方法が変わってきますので大変重要です。間違った判断をすると余計な費用がかかったり、的確な対処ができないということになってしまいます。また、ある程度の知識を持っていれば、悪質な業者に騙されにくくなるはずです。ここでは基本的な木材の被害の写真と特徴をご紹介したいと思います。
 ※このページで紹介するシロアリの種類は土木生息性シロアリであるヤマトシロアリとイエシロアリを対象としています。

 1.木材の被害@ シロアリによるもの
 ヤマトシロアリやイエシロアリの被害の場合、食害箇所には土を持ち込んでいることがほとんどです。雨漏りなど特殊な状況で無い限り、被害箇所はどこかで土壌とつながっており、そこからシロアリは一粒一粒運び、道や部屋を作ったりします。一見健全そうな木材でも中がすかすかという場合は少し壊さないとわかりませんが、柱などでシロアリが外気を遮断するため穴や亀裂を土で覆うこともありますので一見しただけでわかる場合もあります。


 これはちょっと極端ですが、シロアリが木材の表面に土を持ち出した所。
 玄関や勝手口の上がり框でここまでではないですがよく見られます。
 業界用語で「蟻土(ギド)が噴く」といいます。


これはシロアリの食害痕

 2.木材の被害A 腐朽菌によるもの
 いわゆる「腐れ」です。腐れは腐朽菌の仕業ですがみなさんが食されるキノコも腐朽菌の一種が作る物です。腐朽菌は木材の「腐らせ型」により褐色腐朽菌、白色腐朽菌、軟腐朽菌の3つに分類されますが、所詮「菌」ですので、加害箇所に土を持ち込むことはありません。
 

これは褐色腐朽菌による腐朽。乾燥すると縦横に亀裂が入る

これは白色腐朽。木材がほぐれるような感じ。



これは白色腐朽が乾燥したところ。褐色腐朽とは明らかに異なり、進行すると木材が「ぼそぼそ」という感じになる。

3.木材の被害B シロアリ以外の虫によるもの
 木材を食害するシロアリ以外の虫ではキクイムシやシバンムシなどがいます。これらは成虫が木材をかじるのではなく、木材内で過ごしている幼虫期に食害します。特徴として表面に直径2mmくらいの小さな穴がポツポツ開いていて、中は粉状のものが詰まっています。土は詰まりません。


これはおそらくケブカシバンムシの食害痕と思われます。
中は粉上のものが詰まっています。
写真の左右下の方では褐色腐朽も確認できます。

 これもケブカシバンムシの食害痕。左側に小さい穴がポツポツ見えますがこれは成虫になったときに脱出するための孔です。交尾後、またこの穴に侵入して卵を産むこともあり、そうするとまた幼虫が同じ箇所を食害することになります。これが何代も続いてしまうと局所的に被害が大きくなることがあります。


木材中のケブカシバンムシ。これから脱出するところだったのか産卵後だったのかわかりませんがすでにお亡くなりになっていました。

4.木材の被害C その他いろいろ
 実際現場では我々でも何の食害なのか判断に迷うこともありますしこれらが組み合わさっている場合もあります。ただ、木材にダメージを与えるのはシロアリだけではなく、また、シロアリの被害箇所には土が持ち込まれることが多いということを頭に入れておけば、仮に業者さんがシロアリの被害ですと写真を見せてきても何かおかしいと感じたり質問することが出来ると思います。納得しないときは後日他の業者さんの意見を聞いてみるのも良いかと思います。もし適当な業者さんがいない場合は、遠慮なくご相談ください。以下に主に腐朽菌の仕業ですが写真をいろいろ掲載しておきますので参考にしてください。


これは腐朽菌。

これも腐朽菌。シロアリはこういうことはしない。

 

これも腐朽菌。

これは床下に生えたキノコ。
ちなみにシロアリの中にはキノコを
栽培する種類のシロアリがいる。
 

これも腐朽菌。

これはひどい腐朽菌!
・・・ではなく人工的に吹付けられた断熱材。
しかし果たして中の木材はどうなっているのか・・・。


これは褐色腐朽とシロアリの食害の両方。

これは浴室の入り口ですが、一見シロアリの被害のようにも
見えますが、木材内に持ち込まれているのは土というより
雑多なものという感じです。実はこれは腐朽菌とクロアリの仕業。
クロアリは健全な木材であればシロアリのようにかじって
侵入したりしませんが、腐朽やシロアリによる食害をうけ、
弱った木材だと侵入する場合があります。
 

これと右の写真は以前お客様からお問い合わせいただいたもの。
これだけ木材にダメージを与えて糞や変色などの
痕跡をまったく残さないものとなると・・・・・。

写真だけなので定かではありませんがおそらく人の仕業。
ただし、以前に何らかの被害にあっていてその部分を
削り取ったという可能性はあります。

シバンムシによる床束の被害。この床束は木材の表面だけ
残って、中はほぼ木粉だけとなっていました。

ここだけではわからないときは遠慮なくお問い合わせください。
お問い合わせはこちらから。(写真も添付可能です。)



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